不動産を売却する流れ|9ステップで細かく解説
不動産売却は、情報収集から決済と引き渡しを終えるまで、およそ3から6か月ほどかかります。
今回は、そんな長期でおこなわれる不動産取引の流れを9ステップで解説していきます。
注意点などもわかりやすく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
不動産売却ステップ①〜情報収集〜
不動産売却においては、相場を調べるなど、事前に情報をしっかりキャッチしておくことが非常に重要です。
この段階でいくらで売りたいかや、現実的な売却額を想定しておきましょう。
事前に情報をキャッチしておくことで、叩き買いされるなどのリスクを減らすことが可能です。
これから、不動産売却のリスクヘッジに繋がる情報収集でおこなうことを紹介します。
価格相場
まずは売りたい物件の価格相場を調べましょう。
相場を調べる際は、国土交通省が公表している地価公示価格や、都道府県地価調査などを参考にすると良いです。
また、レインズ・マーケット・インフォメーションや、土地総合情報システムでも有益な情報を得られます。
相場を調べる時は、売出価格ではなく、成約価格に目を向けましょう。
売出価格は物件を広告に載せた時の価格で、成約価格は取引が成立した時の価格です。
成約価格の方が、実際に契約が成立した際の金額がイメージでき、売買の算段が立てやすくなります。
レインズ・マーケット・インフォメーション
レインズ・マーケット・インフォメーションとは、国土交通省から認可されている不動産流通機構が運営しているサイトで、直近1年間の成約価格を見ることができます。
土地総合情報システム
土地総合情報システムは、国土交通省が運営しているサイトになります。
土地や物件の成約価格だけでなく、地価公示や都道府県地価調査もまとめて見れるので非常に便利です。
物件に関する必要な書類を集める
物件に関しての情報を集められたら、今度は不動産に関する書類を集めていきましょう。
一戸建て、マンション、土地を問わず必ず必要になるのは以下の5つです。
- 身分証明書
- 実印
- 印鑑証明書
- 登記済権利書
- 固定資産税納税通知書
- 身分証明書
不動産売却ステップ②〜査定依頼〜
不動産売却で必要な情報と書類を集めたら、不動産業者に査定依頼をしましょう。
査定依頼は簡易査定から訪問査定という2ステップでおこないます。
簡易査定とは相場などから売出価格を割り出す方法で、訪問査定とは、実際に物件を査定士が訪ねて値段を決めるやり方です。
査定をしてもらう際に気を付けたほうが良い注意点が2つあるのでご紹介します。
買取よりも仲介がおすすめ
買取よりも仲介を選ぶ方法があります。
不動産会社が売り手から買い取って転売する買取よりも、売り手と買い手をつなげる仲介の方が、売却価格が高くなります。
例えば、同じ条件の物件でも、買取だと600万円で、仲介だと1,000万円ということもあります。
買取価格は仲介価格のおよそ6〜8割程度になってしまうので、仲介がおすすめです。
複数の不動産会社に依頼しよう
不動産会社に査定を依頼するときは、1社だけでなく複数の不動産会社に依頼しましょう。
多くの不動産会社に依頼すれば、それだけ良い条件を出す不動産会社に出会える確率が高くなります。
A社では2,000万円だったけれどB社は2,200万円提示するということもあるかもしれません。
少しでも物件を高く売るためにも、査定依頼は複数の会社に出すことをおすすめします。
不動産売却ステップ③〜媒介契約の締結〜
条件の良い不動産会社が見つかったら、媒介契約を結びます。
媒介とは、売り手と買い手の間を取り持つ契約の事です。
正式に仲介を依頼するためには、媒介契約が必要になります。
媒介契約を3つの契約で紹介
媒介契約は、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類あり、特徴を表にして分けると以下のようになります。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
自己発見取引 | できない | できる | できる |
依頼できる会社の数 | 一社のみ | 一社のみ | 複数の会社で可能 |
依頼主への報告 | 1週間に1回以上 | 2週間に一回以上 | なし |
指定流通機構への登録 | あり | あり | 義務なし |
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、3種類の契約の中で最も制約が厳しいですが、その分手厚いサポートを受けられます。
比較的早く売り手が見つかりますが、契約を結べるのは1社だけなので、どのような結果になるかは不動産会社の力量に依存します。
ですので、慎重な不動産会社選びが求められる契約です。
専任媒介契約
専任媒介契約は、専属専任媒介契約と違って買主との直接交渉が認められています。
ですので、買主が決まりやすく、スムーズに進んでいくのが特徴です。
一般媒介契約
一般媒介契約は、最も自由度の高い契約です。
何社とでも契約を結べるので、人気の物件ならば不動産会社が競って販促をおこなってくれ、早期に良い条件で契約が結べます。
不動産売却ステップ④〜売り方の戦略を立てる〜
媒介契約を結んだら、販促活動に向けて売り方の戦略を立てていきます。
ここでは、不動産会社に自分の希望をはっきり伝えておくことが重要です。
値下げ交渉も織り込もう
売出価格には、あらかじめ値下げ交渉されることも織り込んでおきましょう。
不動産売却では、値下げ交渉をされるのが一般的です。
値下げ交渉をされることを前提にしておくと、多少値下げすることになっても心の準備が出来ます。
値下げするのは当たり前だと思って、あらかじめ少し高めに設定しておきましょう。
要望は事前に伝えておこう
具体的な戦略を立てるのは不動産会社ですが、あなた自身の要望をはっきり伝えておくことも重要です。
特に、「いくらで売りたいか」や「いつまでに売りたいか」は重要な事項となるので、遠慮せずに提案しましょう。
不動産売却ステップ⑤〜販促活動〜
販売戦略を立てたら、実際に販促活動をおこなっていきます。
広告方法は主にチラシやインターネットです。
広告を見て気になったお客さんを相手に内覧をおこないます。
内覧前に準備しよう
販促活動が決まったら、まず部屋の準備をしましょう。
買主は内覧のイメージで購入を決めると言っても過言ではありません。
買う側にとっては、内覧のイメージ=住んだ時のイメージです。
成約率を上げるためにも、しっかり清掃をおこない、部屋の準備をしておきましょう。
不動産会社からの報告書はしっかりチェック
不動産会社からの報告書はこまめにチェックするようにしましょう。
報告書をみて疑問に思ったり、販促が不十分だと感じる場合は気兼ねなく意見を出すことが大事です。
不動産売却ステップ⑥〜購入者と交渉〜
販促活動をおこない、購入希望者が現れたら、交渉を始めましょう。
仲介業者を通して購入申込書か買い付け依頼書が届くので、内容を確認して売買契約を結ぶ場所と日時を決めてください。
住宅に瑕疵がある場合は、トラブルを未然に防ぐためにも、この段階で伝えておくようにしましょう。
不動産売却ステップ⑦〜売買契約を締結〜
購入者と交渉をおこない、お互いが条件に納得したら売買契約を締結します。
売買契約の流れ
売買契約は以下の流れでおこなわれます。
- 売主と買主の顔合わせ
- 重要事項説明
- 売買契約書の読み合わせ
- 売買契約書に署名・捺印
- 手付金の受領
- 不動産業者に仲介手数料を支払う
売買契約でかかる費用
売買契約では、手付金と仲介手数料が費用としてかかってきます。
手付金とは、売買契約を締結した後に買主が売主に支払うお金の事で、契約の証拠となります。
相場は契約金額の10%です。
仲介手数料は、不動産会社に支払うお金で、媒介契約を結んだ時点で半金払うのが一般的になります。
仲介手数料の相場は以下の通りです。
売買代金200万円以下 | 契約金額の5% |
売買代金200万円超400万円以下 | 契約金額の4%+2万円 |
売買代金400万円超 | 契約金額の3%+6万円 |
売買契約で確認しておくべきこと
売買契約を結ぶ際は、特に以下の点に注意して読み合わせをおこないましょう。
- 物件の情報
- 売買代金及び受領方法と受け取り時期
- 手付金の金額
- 公租公課などの清算方法
- 瑕疵担保責任の期間
- 付帯設備一覧の内容と説明
不動産売却ステップ⑧〜決済及び引き渡し〜
売買契約を結んだら、決済と引き落としをおこないます。
決済前の準備
決済をスムーズにおこなうためには、事前準備が重要です。
必要な書類を揃えておかないと、決済当日に引き渡しが出来ません。
決済には以下の資料が必要です。
- 本人確認書類
- 登記済権利証
- 固定資産税納付通知書
- 住民票実印、印鑑証明書
- 通帳、銀行印
- 仲介手数料や手付金などの諸費用
決済日当日の流れ
決済当日は、住宅ローンを組む場合は金融機関のブースでおこないます。
売主と買主だけでなく、不動産仲介業者や、司法書士などの立ち合いもあります。
決済日当日の流れは以下の通りです。
- 所有権移転のための書類チェック
- ローンが実行される
- 売買代金の残額が買主から売主へ支払われる
- 仲介手数料や登記費用を支払う
- 所有権移転の手続きをおこなう
- 後日登記済権利証が郵送される
不動産売却ステップ⑨〜確定申告〜
決済を終え、不動産売却で利益が出た場合は、確定申告をおこないましょう。
譲渡所得が発生したら確定申告が必要
不動産の売買で譲渡所得が発生したら、確定申告をおこなわなければいけません。
譲渡所得は、譲渡収入金額から取得費と譲渡費用を引いて計算できます。
譲渡収入金額は売却によって得たお金で、取得費は不動産を購入する際にかかったお金です。
譲渡費用は、仲介手数料や印紙税など、不動産を売るためにかかった諸費用を指します。
特例や特別控除を利用して譲渡所得を無くした場合は、確定申告が必要になるので注意しましょう。
確定申告の期間
確定申告は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日になります。
例えば、2022年の9月に売却した場合は、2023年の2月16日から3月15日までにおこなわなければいけません。
不動産売却した月によっては、確定申告まで長い時間空いてしまうので、忘れないように注意しましょう。
まとめ
不動産売却は、一見複雑で難しいと思われがちですが、1つずつ分解していくとそれぞれはシンプルな作業です。
ただ、大金が動く取引であることは間違い無いので、全ての工程を慎重におこなうようにしましょう。
実際に取引をおこなう際は、ぜひこの記事を参考にしながら進めてみてください。