【後編】広島県福山市の人口推移について徹底解説!

RESAS(地域経済分析システム)を使って福山市での暮らしを分析してみた
こちらの記事では、広島県福山市の暮らしを人口推移の観点から分析していきます。
前回の記事はこちら。

福山市とは

福山市は、広島県の南東部、広島市と岡山市のほぼ中間に位置する広島県第二の都市です。。総人口は約45万人、合計特殊出生率においては都市部の中では非常に高い水準を維持している都市です(引用元:福山市人口将来展望分析, 2021年(令和3年)3月, 福山市)。
少子高齢化と人口減少は全国的な傾向ですが、中国地方の中核都市である福山市も例外ではありません。かつては備後地域の産業や交通の中心として発展してきた福山市は、今後どのような人口構造の変化に直面するのでしょうか。本稿では、最新のデータをもとに福山市の現状と将来像を分析し、浮かび上がる課題と将来の暮らしについて考えます。
RESAS(地域経済分析システム)とは

今回の分析で使うRESAS(地域経済分析システム)とは、内閣府と経済産業省が中心となって2015年に公開したデータ分析プラットフォームです。正式名称は「地域経済分析システム(Regional Economy and Society Analyzing System)」で、日本全国の自治体や研究者、企業、市民が利用できる オープンデータの可視化ツール として整備されています。
地域活性化や政策立案を支援する目的で、人口、産業、雇用、観光、地方財政などの多様なデータを地図やグラフ上で直感的に把握できる点が特徴です。

将来人口推計分析
今回は、福山市の将来人口を推計したデータをもとに、福山市の将来を分析していきたいと思います。

出典: 「RESAS(地域経済分析システム)-将来人口推計分析」
まずは、総人口の推計を見ていきましょう。
図上に3本の線があります。青色のパターン1という線は、出生率の大幅な改善や移動要因の変化を考慮せずに推計したもので、現実的な推計に近いと考えられます。緑色のシミュレーション1という線は、合計特殊出生率が人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準の2.1)まで上昇したとした場合の人口推移を表しています。つまり、出生率が回復したと考える場合です。黄色のシミュレーション2という線は、合計特殊出生率が人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準の2.1)まで上昇し、かつ人口移動が均衡したとした(移動がゼロとなった)場合のシミュレーションです。つまり、出生率が回復し、転出超過が解消されたと考える場合です。
パターン1を見ると、2015年時点で約46.5万人の人口は、50年間で約8万人減少する見込みとなっています。このパターンを踏まえると、福山市は「緩やかな人口減少都市」となる可能性が高いです。
次に、シミュレーション1を見てみましょう。シミュレーション1では、出生率を、人口を長期的に保てる水準である2.1にまで回復すると仮定しています。ちなみに、2024年の日本の合計特殊出生率は1.15なので、あまり実現可能とは言えない数字です。
グラフを見ると、人口減少スピードが緩やかになり、2065年時点で 約44万人 を維持しています。パターン1との差は5万人強です。
このグラフからわかる通り、出生率の改善は人口減少の抑制に効果はありますが、人口増加には至らず、「減少の緩和」にとどまっています。
最後に、シミュレーション2についてみてみます。シミュレーション2では、出生率が2.1に上昇し、さらに転入と転出が均衡(流出超過が解消)すると仮定して推計しています。
グラフを見ると、2065年でも 約40万人を維持していますが、緑線(シミュレーション1)よりもかなり低いという結果になりました。
出生率回復と移動均衡を仮定しても、人口増加にはつながらず、長期的には横ばい〜微減になっていくことがわかります。つまり「自然減(死亡>出生)」が人口現象の主要因であるため、移動改善だけでは効果が限定的であることを示唆しています。
まとめ

このデータからわかる通り、人口減少は回避することのできない現実です。東京都以外の自治体は、ほぼ例外なく人口減少や少子高齢化に直面しており、現実的に考えると人口が増加に転じるケースは存在しません。
このことから、縮小を前提にしたまちづくりを行っているか否かが非常に重要だと言えます。将来人口は35万人前後に収束していくことが予想されているため、その規模の都市を持続的に運営できる基盤や仕組みが整っているかが大事になってきます。また、より個人の幸福にフォーカスした取り組みも重要になってくるでしょう。
福山市は、非常に子育て支援が充実している自治体で、人口減少を食い止めることはできないとしても、子供がほしいと思った時に充実した支援を受けられる環境が整っています。また、災害リスクの低さや教育環境・医療環境の充実度、交通の利便性など、住みやすい街であることは間違いありませんし、今後も改善を続けていくのだとと思います。
日本全体で人口減少が進行している中で、個人のウェルビーイングを実現する政策を打ち出している福山市は、とても魅力的な自治体であると感じました。
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